……こんなの新さんにバレたら、殺されるの確定だ。

 だけど恋愛初心者の俺にはこんな強引な手しか思いつかず、そのままの状態で栞に言った。

「俺、これから全力でアピールするからな。もう容赦しない。」

「……?」

 栞は全くと言っていいほど何の事なのか分かっていない様子だったけど、今更そんな事気にしていたら何もできない。

 どれだけ鈍感なんだよ……。

 編入した時からそうだったけど、やっぱり栞には不思議なことがありすぎる。

 だがもう……好きになったからには関係ない。

「よく分からないけど……が、頑張ってねっ!」

 ……どうするか、この鈍感。

 栞は自分のことだと思っておらず、呑気に応援なんてしている。

 どんなシュールな光景だよ……と、思わず突っ込んでしまいそうになった。

 だけどギリギリで耐え、栞をとりあえず解放した。

「鈍感。」

「みんな、どうしてそう言うの……。」

 他の輩にも同じ事を言われたのか、しゅんと落ち込んでいる栞。

 仕方ないと言えば仕方ないんだろうが……少しだけ、可哀想に見えてきた。