だが仁宇屋はまともに受け取らず、微笑みを浮かべているばかり。

「確かに夜目君も観心君も、まだまだ心は弱い。だけどまだあの二人はアピールしているほう。君はアピールもせずに好意を寄せている、ただの小心者だよ。」

 ……っ。

 面と向かって言われるのは初めてで、ぐっと言葉に詰まる。

 仁宇屋は人の観察が上手い。人を扱うのだって得意だ。

 だから仁宇屋に何を言われても、図星すぎて何も言い返せない。

「君がおりちゃん……柊木栞に好意を寄せてるのは分かってる。だったら、もっとアピールして神々から奪えるように頑張らなくちゃ。」

「……何でお前がそんな、アドバイスみたいな事してくるんだよ。」

 こいつも、栞に少なからず興味があるはずだ。

 どうして敵に塩を送るようなこと、そう易々と言えるのか。

 そんな疑問を持ち、吐き捨てるように言葉に表す。

 どこまでも読めない奴……。

 そう思った俺の言葉の後、仁宇屋は困り顔でため息を吐いた。

「俺はおりちゃんに興味はあるけど、好意なんて持ってない。人の恋模様を見ておくのが好きなんだよね。」