『僕ね、しーちゃんのこと好きになっちゃった。』

 球技大会が終わった後、二人で話している時にそう切り出された。

『いつから、だよ。』

 和向の言葉が信じられずに、震えた声でそう尋ねたのを覚えている。

 俺が自覚をしたのは、球技大会の練習期間の時。

 だから気付いたのは、つい最近なんだ。

 だけど和向はそんな素振りを一度も、表に出した事はなかった。

 最初はきっと、和向得意の冗談。嘘だって、信じて疑わなかった。

『僕もつい最近。疾風もしーちゃんのこと、好きなんでしょ?』

 だがそんな希望は、そうやって崩されてしまったんだ。

 和向は確信を突いた時、語尾を伸ばさずに普通に話す。

 あの時の言葉が、その条件にはまっていて冷や汗が肌に伝うのを感じた。

 こういう時はこいつ、鋭いんだよな……。

 図星を突かれて何も言えずに下唇を噛み締めていると、和向が不意に呟いた。

『新さんがしーちゃんに一番近いのに、僕たち何やってるんだろうね~。』

 その和向の言葉は、同意せざるを得ない。