あんなに優しくされて、助けてくれて……好きにならないほうがおかしい。

 栞は鈍感だから未だ気持ちに気付いていない……けど。

 ……そろそろ、気付いてしまいそうなんだよな。

 まぁ、あんなあからさまにアピールされてたら流石の鈍感栞でも気付くはず。

 もし二人が付き合うことになれば、俺は友人として祝いたい。

 それはもしかしたら、表面上になるかもしれない。

 栞を新さんから奪いたい奴らは、周りに数え切れないほど溢れている。

 Zenithや生徒会や、身内のAnarchyだって。

 数えだしたらキリがないが、要はライバルがそれほど多いってこと。

 栞は天然タラシだから、輩が誰彼構わずやってくるのは正直分かっていた。

 だが……栞の内面の良さは、気付かないでほしかった。

 今更願ったって遅すぎる。

 そんな事、自分が一番よく分かっていた。

 でもどうしても……願わずにはいられない。

 明李が栞のことが好きなのは、元から知っていた。だからショックはそれほどない。

 ショックが大きかったのは……和向の気持ちに気付いた時だ。