栞が風邪をひいたって新さんから連絡が来て、俺はこれ以上ないくらいに焦っていた。

 もちろん、栞が風邪を引いた事態だって十分焦る材料になる。

 だけどそれ以上に焦ったことは……新さんと栞が一緒にいるという事態。

 新さんが栞の看病するって聞いたけど、いろんな感情が集まってどうすればいいのか分からなくなってきていた。

 心配と焦りと嫉妬と……そんな感情が入り混じる。

 こんな感情を抱いている原因なんて、とっくに分かり切っていた。

 ……栞のことを、好きになってしまったんだって。

 それが原因で間違いないだろうが、そのせいでこんなに辛い思いをしている事を認めたくなかった。

 一番最初に栞のことを好きになったのは、誰が何と言おうとも新さんだ。

 だから、こんな感情を抱くのは間違っている。

 新さんを応援したい。

 その気持ちに嘘偽りはない。新さんには幸せになってほしいって思うから。

 それでも俺は……新さんと栞がくっつく事が、とてつもなく嫌だと思ってしまった。

 ……だけどきっと、栞は新さんを好きになるだろうな。