「もう少し、このままでも良いですか?」

 無意識にそんなお願いをして、新さんにぎゅっと抱き着く。

 一瞬だけ息を呑むような音が聞こえた気がしたけど、新さんは短い返事を返してくれた。

「あぁ。」

 ふふっ、良かった。

 嫌だとか思われてたらどうしよう……なんて考えもする。

 だけど今は……温もりに包まれている事が、幸せ。

 付き合ってもいないのにこんなわがまま、どうなんだろう。

 ぼんやりとそう考えるけど、今はそんな事考えたくなかった。

 そんな事考えてると、胸が苦しいくらい締め付けられるから。

 私は新さんにそんな気持ちを悟られないように、新さんの胸板に顔を埋めた。