今、私の目の前にはお父さんとお母さんがいる。

 過保護で心配性で、とっても大好きなお父さん。

 おっとりしていてのんびり屋さんで、だけどしっかりしているお母さん。

『神菜は、何も気にしなくていいから。パパに任せておきなさい。』

『かんちゃんは心配性で責任感が強いから、遠慮なくママたちを頼ってね。』

 昔、二人に言われたことが脳裏に勝手に浮かんでくる。

 魔術師だった私を受け入れてくれ、優しく包み込んでくれた二人。

 だけど……頼り過ぎちゃったんだ。

 “あの日”から私は、人を頼ることができなくなっちゃったんだ。

 頼られる側だったこともあるけど、大きな原因は“あの日”の出来事。

 私は……お父さんとお母さんの傍にいる資格なんて、ない。

「ごめんね……お父さん、お母さん。」

 無意識にそんなことを呟き、まどろみの中で意味もなく私は彷徨っていた。



「神菜……起きたか。」

 そんな声が隣から聞こえ、私はようやくまどろみの中から脱出した。

 ぱちっと瞼を開けて、今の状況を確認する。