それでも他の男の人に好意を見せたくなくて、ついそう考えてしまう。

 天さんは乾いた笑みを浮かべている僕に、不意にこう耳打ちした。

「そういえばさっき連絡があったんだけど、風邪ひいちゃって栞三日くらい学校来れないらしいから。そこは分かっててね。」

「……はい。」

「分かってくれたなら良かったよ。」

 天さんは僕の返事に満足したのか、上品な笑みを浮かべてまたどこかに行ってしまった。

 天さんも侮れない。

 あの人は先輩に興味があるみたいだし好きなるのも……時間の問題。

 だけど、風邪かぁ……。

 もしかしたら球技大会の疲れが出たのかと思い、割り切ることにする。

 まぁ……明日から二日は休みだから、そこまでダメージは大きくない。

 本当はお見舞いに行きたいけど、先輩は寮生じゃないからどこに住んでいるのかが分からない。

 それに僕が行ったって、先輩は優しいから気を遣ってゆっくり休めないはず。

 こういう時は、神々さんが行くのが一番で……。

「……って、僕何考えてるんだろう。」

 何でこんなに、マイナスな事しか考えられないの。