「栞がそう言うなら、喧嘩しない……。」

 ふぅ……これで一安心、かな?

 ほっと胸を撫でおろして、大きく息を吐く。

 喧嘩未遂?になって良かった……。二人の喧嘩は見たくないからっ……。

「じゃあごたごたも片付いたから、今日はもう解散。みんな気を付けて帰るんだよ。」

 その後、天さんのその一言で解散になった。

 私も早く帰ろう、新さんが待っててくれるから。

 だけど生徒会室から出ようとした瞬間、創さんに呼び止められた。

「神菜さん、少し良いですか?」

「は、はいっ。大丈夫ですよっ!」

 本名で呼ばれたから心臓に悪かったけど、ひとまず返事をする。

 創さんのほうに向き直り「どうしたんですか?」という気持ちを込めて見つめた。

 創さんが私を呼び止めるなんて、何か用事かな……?

 そんな予想を立てながらも、創さんの言葉を待つ。

「まだほんの少しだけ仕事が残ってしまってまして……手伝ってくださいませんか?」

 何を言われるんだろうと身構えている私に聞こえてきたのは、申し訳なさそうにしている創さんの言葉。