それに、先輩も先輩。

 あんなに好意をあからさまに寄せているような人がすぐ近くにいるのに、全く気付かない。

 鈍感って言っていいのか、お人好しって言っていいのか……。

 だけど先輩が、普通の人とは違う感性を持っているのだけは分かる。

 だから、先輩のことが心配で仕方がない。

 いつか変な人に騙されそう……。疑うってことも知らないだろうし……。

 先輩って結構、面倒な輩に好かれる傾向があるんだよなぁ……。

 僕は小さくそう思って、資料室を後にした。



 体育館に戻って片付け作業を再開しようとして、周りをきょろきょろと見渡す。

 でももうすでに片付けは終わっている状態で、いつもの体育館に戻っていた。

「あっ、都真おかえり。お疲れ様。」

「天さんもお疲れ様です。」

 その時に天さんに声をかけられ、慌てて笑顔を浮かべて返した。

 天さんは鋭いから、思ってる事気付かれないようにしないと……。

 別にもう天さんに気持ちはバレてしまっているから、今更だと言われると思う。