言い聞かせるように心の中で何度も呟いて、それを納得させる。

 だけど……世妖さんはいとも簡単に崩してしまった。

「俺は本気。都真にも栞はあげないから……。」

「世妖さんって、そうやって本気になれるんですね。普通に焦りそうです。」

「焦ってるようには見えないけどね……。」

「ならまだ焦ってないって事じゃないでしょうか?そう思うならそうなんじゃないですか?」

 ふ、二人が喧嘩しそうっ……。

 この前も疾風君たちも喧嘩しそうなくらいバチバチしてた。

 け、喧嘩腰が流行ってるの……?ぶ、物騒だ……。

 どうすればいいかあわあわと一人慌てていると、奥から天さんがやってきてため息を盛大に吐いた。

「本人がいるところで喧嘩しないでくれる?栞が困ってるよ、ね?」

「ええっと……喧嘩はしちゃダメですよっ?」

 突然話を振られたのは驚いたけど、言いたい事をとりあえず言ってみる。

 喧嘩したら、ダメだと思います……!

 そう言った途端、二人とも喧嘩腰をやめてくれた。

「すみません、つい言いたくなってしまって喧嘩腰になっちゃいました。」