私、どうしてこんなに嬉しくなってるの……?

 今度はそんな疑問が浮かんできたけど、今は考えられない。

 ……新さんの甘すぎる言葉が、止まらないから。

 新さんは私をじっと見つめて、愛おしそうに頬や頭を撫でてくる。

「他の奴に見せたくないし、俺以外神菜を見なくていいって思ってる。神菜を愛すのも……俺だけでいい。」

 静かにそう言って、私のことをこれでもかってくらい抱きしめる新さん。

 こう言ってくれる人が、現れるなんて……もう一生ないと思ってた。

『神菜のことは、パパたちが絶対に守るから。』

 不意に、昔そう言われた事を思い出す。

 そういえば私、こうやって愛情を向けられたのはいつぶりだっけ……?

 お父さんもお母さんとも会ってないから、もう忘れちゃった。

 ……でも、お父さんたちに会いたいな。

 無理だと分かっていても、自分で決めた事だったとしても……その気持ちは消えない。

 ごめんね、親不孝な娘で。

 私は新さんに抱き着いて、バレないように静かに涙を零した。