な、何っ……!?

 急な事で驚いて、全身に熱が集まってくる。

 恥ずかしさとくすぐったさが入り混じる感情に苛まれそうだったけど、何とか声を出すことができた。

「あ、新さん……ち、近いですっ……!」

「真っ赤だぞ、可愛いな。」

 必死に訴えても、新さんは顔を上げて平気そうな様子でそう言ってくる。

 そ、そんな恥ずかしいセリフをサラッと言わないでくださいっ……!

 私は可愛くもないし、私にそんな言葉は似合わない。

 頑張って逃げようと試みたけど、新さんにがっちりとホールドされているから逃げられなかった。

 に、逃げれない……。

 今までに抱きしめられたことは数え切れないくらいあったけど、こんなに近いのは初めてかもしれない。

 だからなんとか身をよじって抵抗するけど、丸く収められるだけ。

「か、可愛くなんかないですよっ……!」

 ようやく言えた言葉も小さなもので、その分頬を膨らませる。

 私、新さんにからかわれてるんじゃ……。

 甘いセリフを平然と言える新さんは、きっと意地悪モードなんだ。