だからこそ……創さんはこんなに怖い顔をしているんだよね。

 きっと創さんは、世に言うヤンデレの部類に入る人だと思う。

 先輩のことが好きで好きでしょうがなくて、ある“強行突破”に出ている。

 それをするためならば――理事長さえも、脅してしまえる。

 僕は一番創さんのことを知っているから、創さんの怖さはよく分かっていた。

「まぁいいですよ。栞さんに手を出さないのなら、僕は何も言いません。」

 創さんはおもむろに息を吐いて、資料室から立ち去る。

 その後ろ姿を見ながら、僕は安堵と緊張と恐怖を入り混ぜた息を吐いた。

 創さんとは同じ妖精族で、昔からの顔馴染み。

 でも創さんと話すときは今でも極度に緊張しちゃって、ため息を吐かずにはいられなかった。

「……あの人、日に日にヤンデレ化進んでない?」

 僕が思ってるだけかもしれないけど、創さんの病み度が日を重ねるごとに上がってきている気がする。

 大方、先輩との距離が少し縮まった事に喜んでいるからだろうけど……僕からしたら恐怖でしかない。