だけど初対面から、抱き着くなんて非常識な行動に動いたのにも理由はある。

 俺は昔から、気に入った人に抱き着く癖があるらしい。

 変な癖だな……と思っているけど、治すつもりはさらさらない。

 だから、誰彼構わず抱き着いているわけではなかった。

 でも栞には……一瞬のうちに、興味を抱いたんだ。

 人間なのに、しかもあんなに地味なのに、生徒会には入れたなんてって思った事もある。

 変な奴を入れるのなら俺は猛反対するつもりだったけど、栞のことは一瞬で気に入った。

 何となく抱き着いてみると、人間特有の雰囲気を感じることができる。

 それが凄く落ち着いて、ずっと抱きしめていたかった。

 まぁ、初対面で抱き着いちゃったのは反省してるけど……。

「別に良いけど、また後で抱き着いていい……?」

 首を傾げてそう聞くと、栞は言葉に詰まったように顔を強張らせた。

 そんな露骨に顔に出されてもなぁ……と思いつつ、「いい?」ともう一回聞く。

 その後栞は諦めたのか、困ったように苦笑した。

「あ、後なら……いいですよ。」