でもその瞳に光なんて……入っていない。

 だって、この人は……。

「栞さんのこと、どうして好きになったんですか?」

「分かってたんですね。」

 ……先輩のことを、怖いくらいに好いているから。

 今だってどす黒い感情を隠そうとしていないし、顔は笑っているけど瞳は笑っていない。

 この人、ある意味危ない人かも……。

 呑気にそう思っている傍ら、創さんは僕に一歩ずつ近づいてくる。

 ……創さん、やっぱり誰も彼もを敵と認識してるんだ。

 いつも先輩の前では頼れる先輩アピールをしているから、豹変ぶりの落差が大きすぎる。

 それに加え、殺気も多少なりとも見て取れるから、余計に黒い感情が増していた。

「栞さんのこと、好きにならないでくださいって言いましたよね?」

「もちろん聞いています。ですが、僕自身も制御なんてできないので。」

 そう、先輩が生徒会加入するときに創さんからこう言われていた。

『栞さんに対して絶対に、恋愛感情を抱かないでください。』

 僕もその言葉はもちろん覚えているし、覚えている上で好きになった。