ライバルなんてよくよく考えてみれば、たくさん溢れている。

 だから僕には無謀だって、思っている。

 だけど不意に、ずっと前に天さんに言われた事を脳裏に浮かび上がらせた。

『欲しいって思ったものは、どんな手でも良いから手に入れるものだよ。』

 天さんの気性が荒いから、いつもはあてにしていない言葉。

 僕は欲しいって思ったものなんてないし、どんな手を使っても欲しいなんて思わない。

 でも先輩だけはどうしても……諦めきれない。

 こんな諦めの悪い後輩で、ごめんなさい。

 心の中で先輩にそう謝り、資料室に段ボールを置いて踵を返す。

「都真。」

 だけど段ボールを置いた瞬間、背後に創さんの気配を感じた。

 回れ右をして振り返ると、そこには不敵すぎる笑みを浮かべた創さんの姿が。

 この表情を、僕はよく知っている。

 僕は創さんを警戒しながら、恐る恐る口を開いた。

「何でしょうか、創さん。」

「いえ、都真の姿が見えたから声をかけただけですよ。」

 創さんは僕の言葉にそう返し、笑みを浮かべたまま僕を見据える。