おりちゃんが聞きたいのはきっと、こんな回答じゃない。

 ……だけど恋愛はやっぱり、こういう事なんじゃないかな?

「恋愛なんて感情……つまり気持ちだから、はっきりは言えない。だから答えなんて、もしかしたらないのかもね。」

「成生さんってもしかして、前世の記憶とかあるんですか?」

 率直な感想を告げると、おりちゃんは真剣そうに尋ねてきた。

 前世の記憶?うーん、ないけどなぁ……よく言われるけど。

「よくそう言われるけど、全然そんなことないよ。前世の記憶は全くないって言ったらいいのかな。」

『成生って人生経験何回目なの?言葉に年季が入ってるんだけど。』

 たまに風羽とかから言われるけど、前世の記憶はない。

 どうしてそう言われるんだろうね……不思議。

「そろそろホームルーム始まるから教室戻ろっか。おりちゃん。」

「は、はいっ……。」

 おもむろに時計に視線を移してみると、もうそろそろ戻ったほうが良い時間を指していた。

 おりちゃんをちゃんと送り届けなきゃ、神々にバレでもしたら殺されそう。