それがいつもなら簡単に流せれるのに、今日はおかしいから流せない。

「突っかかってこないでください。今僕、凄くイライラしてるんです。」

「うん、知ってる。」

 やっぱり……と思いながら、心からのため息を吐く。

 僕はわざとらしくイライラオーラを全開にして、機材を持っていこうと段ボールを持ち上げた。

「では天さん、失礼します。」

 ぶっきらぼうにそう言い放ち、僕は体育館から出る。

 渡り廊下を歩いて資料室まで持っていき、その道のりでまたため息を吐いた。

「はぁ……めちゃくちゃ先輩のこと好きじゃん、僕。」

 この恋心を自覚したのは、つい最近の事。

 先輩が他の男の人に触られているのを見ると無性に苛立ってしまう。

 先輩と話していると落ち着いて、楽しくなってもっとお話ししたいと思ってしまう。

 それが恋だって気付くのには、凄く早かったと思う。

 だからこそ今、神々さんといると思うと落ち着きがなくなりそうだったんだ。

 神々さんが先輩に好意を寄せているのは知っているし、先輩もそろそろ……自分の気持ちに気付きそう。