「うん、俺のことは兄だって思ってくれたらいいからね。」

 そんな談笑をしながら、ケーキを食べながら成生さんとたくさんの話をする。

 成生さんは他愛ない話を面白可笑しくしてくれて、本当の兄みたいな感じだった。

 お兄ちゃんがいたら、こんな感じなのかな……。

 私にはお兄ちゃんはいないけど、成生さんの事をお兄ちゃんだと思い込んでしまいそう。

 だけど何故か、新さんとのお話のほうがもっと楽しいと感じている。

 成生さんのお話がつまらないわけじゃないけど……何でだろう。

 新さんとお話したほうがもっと気が楽だし、何でも話せちゃう。

「おりちゃんは好きな人はいないの?」

「……いませんよ。」

 成生さんから突然質問され、びくっと肩を震わせてしまった。

 最近、そういう恋愛的な話題には敏感になってしまったから。

 告白をされたからそう思うんだろうけど、恋愛的な話をするのが怖い。

 あんまりそういう話は、したくないな……。

 暗い気持ちになりかけて、ついぽつりと零してしまう。