「私がお願いしたほうなので、奢りなんて……」

「ううん。俺が誘ったんだから、これくらいはさせてね。」

 そう言いながら成生さんは定員さんをサラッと呼んで、私に注文を促してきた。

「好きなの選びな。おりちゃん疲れてそうだから、たまには息抜きしなきゃ。」

「う……あ、ありがとうございます。」

 申し訳ない気持ちになりがらも、私は成生さんの言葉に甘える事にした。

 メニューを手渡されてからすぐに、美味しそうなケーキを頼ませてもらう。

 成生さんはコーヒーを頼んで厨房に戻っていった店員さんを見送ってから、私のほうに視線を戻した。

「いきなり連れてきてごめんね。おりちゃんを見かけたから声かけちゃったんだ。」

「いえ、全然大丈夫です……けど、私なんかで良かったんですか?お話相手なら私じゃなくても……。」

 成生さんは社交的だから、私みたいな地味子じゃなくても良かったはずなのに。

 私は面白い話もできないから、どうして成生さんが私を誘ってくれたのかが気になった。

 成生さんの気持ちは嬉しいけど、やっぱりそんな気がかりがある。