その瞬間「あっ。」と声を上げて、成生に向かってこう口走った。

「成生、もしかして魔力不足?」

「おー、分かるんだね。」

 当たってないだろうなと思いながらそう問いかけると、成生はあっさりと首を縦に振った。

 やっぱりだったんだ……。

 さっきから、いつもの成生じゃないなとは感じていたけど、まさか魔力不足だったなんて。

 魔族はある程度魔力を失うと、成生みたいに性格が変わったりするときがある。

 軽い症状から重い症状まで様々だけど、成生は比較的軽いほうだ。

 僕はさっきまで息苦しくなって座り込んでいたから、症状が重たいほうだと自覚している。

「僕の魔力を渡すけどさ、今日はもう帰って休んだら?明日に響くよ。」

「ありがとね、そうするよ。風羽も気を付けて。」

「うん、分かってる。」

 成生はそう言ってから部屋を後にし、Zenith室は静寂の空間に変化した。

 だけど僕はその中で、神菜に言われた事を思い出していた。

『魔族の人たちの体調に目を光らせておいてくれませんか?』