「はぁ……なら良いけど。」

 良かった……これで好きとか言い出したら、成生のこと本気で消しちゃうかと思った。

 成生も結構な策士だから、ライバルだったら潰さないとと思ったけど……とりあえずは一安心。

 でもやっぱり、成生は人の感情……心情を察するのが上手い。

「そんなにおりちゃんのこと気にしてるって事は……さては風羽、おりちゃんと何かあった?」

 あー……成生には隠し事なんてできそうにないのかも。

 そう思って、素直に認めようと口を仕方なく開く。

 だけど成生は柔らかく微笑んだままゆっくりと口を動かして、大きなため息を吐いた。

「別に言わなくてもいいよ。風羽がそこまで隠すって事は相当言いたくない事なんでしょ?だったら聞かないから大丈夫。」

「成生って、スパイとか詐欺師になれそう。」

「それは意外と心に来るけど……確かに、俺だったらいけるのかも。」

 いや、冗談で言ったんだけどな……。

 成生は常識を兼ね備えているから心配してないけど、たまに変な発言をしそうになるから危なっかしい。