そう思って、足に力を入れて出入り口のほうへと向かう。

 落ち着きたくて深呼吸を繰り返すけど、無情にも浅い呼吸ばかりしかできない。

 心臓の辺りを押さえて、自分自身がパニックにならないように自己暗示をかける。

 大丈夫、これまでにも何回かあったから……。

 魔力風邪には何回かなったことがあるから、今更驚くことでも何でもない。

 だけど今回のような、ここまで重たいものは初めて。

 守護魔術に加え、抑制魔術、治癒魔術もかけているから、魔力不足になることは見え透いていたはず。

 あはは、ちょっとテンション上がり過ぎちゃったかな……。

 球技大会でテンションが上がって、結果的にこんな事になっちゃうなんて……私ってやっぱり、馬鹿なのかも。

 自嘲気味にそう思って、一旦外の風に当たろうとウィッグの長い髪を後ろで軽めに束ねようとする。

 でも……それをする前に、私は意識を飛ばしてしまった。

 これじゃあ最初の時の、二の舞……。

 意識を完全に飛ばす前、私はそんな呑気な事を考えていた。