『やめてくださいっ!』

『ご、ごめんなさい……。もう抵抗しないので……。』

 さっきの神菜の言葉が脳裏に焼き付いて、どうしてたって離れない。

 神菜、どうしちゃったの……。

 いつもの優しい神菜からは想像できないくらい、さっきの神菜は情緒が不安定だった。

 だけどきっと、その原因は僕にある。

 僕が余計な事を言おうとしたから、神菜はあんな反応をしたんだと思う。

 神菜が出て言った扉を呆然と見つめ、歯をこれでもかと食いしばった。

 僕はどうして、神菜の邪魔になるようなことしかしないんだ……っ。

 神菜の事が好きで好きで仕方なくて、誰よりも愛している自信があるのに……どうして余計な事しかしないんだ。

 告白だって、神菜の重りになるだろうと分かっていてもしてしまった。

 このまま何もせずに他の男に神菜を取られるくらいなら、悪あがきをしたほうが良いと思ったんだ。

 でも、それは悪い方向に傾いてしまった。

「風羽、お邪魔するよー……って、どうしたの風羽?この世の終わりみたいな顔して。」