最強さんは魔術少女を溺愛したい。④ ~三大勢力の溺愛は急上昇超加速~

「もしかして、神菜って過去に――」

 やっぱり、分かっちゃったんだ……。

 そう分かってても風羽さんの言葉を聞きたくなくて、勢いよくソファから立ち上がった。

「やめてくださいっ!」

「かん、な……?」

 大きな声で怒鳴ってしまった後に、自分のやってしまった事に気付く。

『お父さんたちだけは、傷つけないで……っ!』

『痛い、ですっ……。もう、やめてっ……。』

 や、やっちゃ、った……。

「ご、ごめんなさい……。もう、反抗しないので……。」

 自己暗示をかけるように両手を握り合わせ、何回も同じ言葉を呟く。

 ごめんなさい。ごめんなさい。

 ――謝るから、痛い事だけはしないで。

 風羽さんには何にもされていないのに、どうしても昔の記憶のせいでそうなってしまう。

「神菜、どうしたの……?」

 ぽんっと肩に手が乗ったけど、私は大きく振り払ってしまった。

 さわらないで、ほしい……。

 そんな一心で風羽さんの優しさを振り払って、はっと我に返って慌ててZenith室を出る。

「ごめんなさいっ……!」

「神菜!」

 背後から風羽さんの声が聞こえたけど、聞こえないふりをしてぎゅっと目を瞑る。

 ごめんなさい、風羽さん……。

 私の都合で嫌悪の態度を出してしまって、手を振り払ってしまって……。