私は風羽さんのことを振ったのに、どうして今も好いてくれてるの?

 諦めないって……風羽さんもお人好しなのかな?

 そんなおかしな考えが浮かぶけど、きっとそういう簡単で単純な問題じゃない。

 その体制のまま、風羽さんは言葉を繋げてくる。

「僕のことを好きになってくれなくていい。僕はそれくらい最低な事をしたんだから、振られて当然なんだ。」

 思いつめたように深刻そうな表情をしている風羽さん。

 どうしてそこまで、深刻そうにしているのか分からない。

 私を好きになってくれた理由だって明確じゃないし、私が好かれるなんておかしい。

 新さんも皐月君もそうだけど、やっぱり腑に落ちない。

 ……皆さんの考える事が、全く分からない。

 風羽さんはゆっくりと目を伏せてから、もう一度私のことを見据えた。

 まっすぐで真剣な眼差しに見つめられ、どうしていいか分からなくなる。

 その直後風羽さんは私の顔を固定した手を下ろし、真剣そのものの声で私にこう告げた。

「神菜、改めて言わせて。君のことが、ずっと好きなんだ。」