「魔力を持っている人が……狙われてる?」

 狙われてるっていう表現はおかしいかもしれないけど、魔力を持っている人に絞られているのかもしれない。

 私の呟きに風羽さんは、不安そうに顔を曇らせた。

「それって……Zenithが狙われやすいって事、だよね……?」

「そうなりますね……。」

 Zenithは魔族で構成されているからいつ誰が、さっきの風羽さんみたいに体調を崩すか分からない。

 何かのテロ……の可能性もあるけど、それだと違和感が拭えない。

 こんなに分かりやすいテロをしたとして、すぐに理事長へと話が行くはず。

 成功率が低い事をわざわざするなんて、考えられない。

 だけどこれは、対策をしておいたほうが良い。

「風羽さん、私のほうで原因を探ってみます。なのでその間、魔族の人たちの体調に目を光らせておいてくれませんか?」

 私が魔術師でも、一人でできる行動範囲は限られている。

 だから風羽さんに協力をお願いしたいところなんだ。

 風羽さんも忙しいだろうから断られる可能性も視野に入れているけど、そんな心配は要らなかった。