風羽さんの元に走って向かい、恐る恐る声をかけてみる。

「ふ、風羽さん……大丈夫ですかっ?」

「神菜、どうしたの……?」

 や、やっぱりいつもの風羽さんじゃないっ……!

 風羽さんとは頻繁に会う仲じゃないけど、様子がおかしいのは一目で分かった。

 顔色が極端に悪く、今にも崩れ落ちそうな表情を浮かべている風羽さん。

 声もか細いものだったから、体調を崩しているのはすぐに察することができた。

 だけど……その原因が分からない。

 熱があるわけでもなさそうだし、どこかを痛めているわけでもなさそう。

「あの……どこか苦しいところとかありますか?」

 落ち着いた声色でゆっくりと尋ねてみる。

 その間にも風羽さんは呼吸を整えるように、何度も深呼吸を繰り返していた。

 ……あれ、これってもしかして……。

 その姿を見た途端、私の頭の中にある一つの可能性が浮かんできた。

 ピコーンっと天から降りてくるような感覚で浮かんできて、私は急いで風羽さんに魔力を流してみた。

 人に魔力を流すのは得意じゃないけど、とりあえず応急処置くらいは……。