「栞、ぼーっとしてどうしたの?」

 その時、明李君からそう声をかけられてはっと我に返った。

 あ……もう授業終わってる……。

 もう放課後になっていて、クラスメイトも教室から出て行っているところだった。

「もしかしたらまだ体調良くないんじゃないのか?」

「保健室行ったほうが良いんじゃない~?」

 二人もそう心配してくれているけど、私は首を左右に振った。

「ううん、大丈夫だよ。」

 この言葉には嘘はないし、もう十分元気になったから大丈夫。

 そういう意味を込めてみんなに笑いかけて、席を立って教室を出ようと背を向けた。

「みんな、また明日っ。」

 大きな声で言い放って、私は魔術師の仕事へと何事もなかったかのように向かった。

 みんなに相当心配かけてしまってるから、これ以上は流石に……。

 心配してくれるのは嬉しいけど、なんだか過剰な気もするなぁ……と、最近は思い出している。

 明李君の心配性はいつもの事だとしても、疾風君と和向君も心配性になってきているような……。