新さんに告白された時のような嬉しさが……ない。

 もちろんびっくりしたし、好意を寄せてもらってるのは良い事なんだと思う。

 それでも私は皐月君のことは友達としか思えないし、恋愛対象には見られない。

「……ごめんね、皐月君。」

 主語も何も言わず、謝罪の言葉を口にする。

 だけど皐月君は気付いてくれたみたいで、悲しそうに微笑んだ。

「いえ、全然大丈夫ですよ。ただ……焦っちゃっただけなので、先輩は気にしないでください。」

 あははと悲しそうに笑う皐月君に、胸が痛んで仕方ない。

 ごめんね、こんな自己中で……。

 皐月君の気持ちは嬉しいものだけど、それを受け止めることができない。

 どうしてか、受け止めたくないって思ってしまっている。

 皐月君のことが嫌いなわけじゃない。可愛い後輩だなって思っている。

 それを考えても……皐月君には恋愛感情を抱けなかった。

「形野君、ありがとうね。もう教室戻っていいわよ。」

 その時タイミングが良いのか悪いのか、養護の先生が保健室に入ってきた。