「わっ……ううっ、やっちゃったぁ……。」

 その時、明李君のそんな声が聞こえて急いで視線を動かす。

 見てみると、明李君にボールが当たっちゃったみたいで明李君は申し訳なさそうにしていた。

 あ、明李君……当たっちゃったんだ……。

 確かにさっきの成生さんのボール、コントロールが凄く上手かったから避けるのが難しかったのかも。

 だけどここまで残れていたこと自体が凄いから、心の中で明李君に拍手をした。

 でもこれで、AnarchyとZenithが同じ人数になっちゃった……。

 四人ずつがコートに残っていて、一騎打ち状態になりかける。

 その最中、観戦席からは絶え間ない声援が聞こえてきていた。

「Anarchy、本当に最高なんだけどっ!」

「分かる~!Zenithもいいけど、やっぱりAnarchyだよね~!」

 ちらほらそんな声が聞こえていて、心の中で何とも言えない気持ちが渦巻く。

 ほ、本当にアイドル扱い……。皆さん、こんなに人気だったんだ……。

 “推し”と言う単語が聞こえてきたり、派閥争いが行われているような声も上がっている。