神菜の意見もまともに聞かずに……本当に馬鹿な事をしてしまった。

「悪かったな、強引に連れてきて。」

 俺は大分落ち着いてきたであろう様子の神菜に声をかけ、申し訳なく思って頭を癖のように撫でる。

 未だ抱き着いてきている神菜は俺の言葉に、顔を上げてこっちを見てくれた。

 涙で瞳が潤んでいて、いつもと違う神菜に心臓のうるささが鳴りやまない。

 だけど神菜は眉の端を下げ、申し訳なさそうに謝ってきた。

「私のほうこそ……こんなに泣きじゃくって、変なお願いもしちゃって……本当にごめんなさい。」

 あー、くっそ……可愛すぎるだろうが、こいつ。

 また泣きそうになっている神菜に、思わず頬が緩んでしまう。

 こんな状況で微笑むなんて神菜に失礼なのに、愛おしいという気持ちが溢れて抑えきれない。

 それでも態度に表さないように喝を入れ、別の意味を持たせて微笑んだ。

「大丈夫だ、気にしていない。」

 ……正直、この言葉は真っ赤な嘘だ。

 めちゃくちゃにバレた事については気になっているし、神菜に何があったのかも知りたい。