やっぱり怒ってる、よね……。

 こんなにあっさりバレてしまっているんだから、怒らないほうがおかしい。

 恐る恐るソファに腰を下ろし、何度も口を開閉する。

 それでも声は発すことができなくて、何も言えなかった。

 謝りたいのに、正直に話したいのに、怖いという気持ちが邪魔をして上手く舌が回らない。

 新さんだけには嫌われたくないという気持ちがあって、どうしようもできない。

 だけど……嫌われちゃうと思う。

 これまでずっと頑張って隠し通してきたのに、もうこんなにバレてしまうなんて……本当に馬鹿だ。

「新さん、あの……っ!」

 なんとか言えた言葉は掠れていたけど、新さんにそう呼びかける。

 でもそれと同時に、新さんにぎゅっと強く抱きしめられた。

 強すぎて痛くて苦しいけど、新さんの腕の中は安心する。

 考えてみれば、こうやって抱きしめられるの何回目なんだろう……。

 新さんはいつもこうして安心させてくれるから、いくら抱きしめられたか覚えていない。

 でも……安心できるから、そんな事気にしていない。