ウィッグをつけるのには時間がかかったけど、なんとかできたから良し。

 そして私が変装できたのと同時に、天さんがこう言った。

「僕だって神々に殺されたくないからね。……神菜、もう帰っても良いよ。」

 ん?新さんに殺される?

 そんな物騒な言葉が聞こえて首を傾げたけど、今は天さんと一緒にいたら危ない気がする。

 天さんの裏の顔のようなものも見えてしまったし……。

「わ、分かりました。失礼しますっ……。」

 だから早々にこう言って、会長室から立ち去ろうと踵を返す。

 その時、翔葉さんがこんな事を言ってくれた。

「元宮、新のところまで送る。」

 そ、そんな事しなくても……。

 一瞬そう考えたけど、これ以上他の人に変装がバレるわけにはいかない。

 この事が公の場に出たら、処分だけじゃ済まないかもなぁ……。

「行くぞ、元宮。」

「……は、はいっ。」

 よし、せっかくだから送ってもらおうかな。

 うーんと考えた末、そんな結論に至った私は翔葉さんに送ってもらう事にした。