新と喧嘩できるくらいの力はあるが、そんなところで労力を費やしたくない。

「あいつがあんな近くにいたなんてな。」

 にしても、それだけは本当に今でも信じ切ってはいない。

 普通、他の輩が血眼になって探している奴がこんな近くにいると思うか?

 ……いいや、誰も思わないはずだ。

 現実と夢が混同しているんじゃないかと疑うくらいの事が、今起こっている。

 だがこれは紛れもない現実だから、喜ばずにはいられない。

 正直、俺に勝算なんてないに等しい。

 ライバルにいるのは新、Anarchyの幹部に生徒会役員。それとZenithの幹部ども。

「天性の人たらしかよ、こんなにライバルがいるなんてな。」

 どうしたらこんなに虜がつくのか、元宮神菜に直接聞きたい。

 確か、五十嵐あたりが良い事例のはずだ。

『栞はAnarchyなんかにやらない。Zenith側に引き入れる。』

 そんな戯言を言っていたが、真には受けていない。

 新のガードがある以上、到底あいつと接触なんて図れないはず。