そんな事を考えつつ、元宮神菜を連れて昇降口近くまで向かう。

 今はもう完全な地味子になっているが、元宮神菜なのには変わりない。

 だがそう考えると……新がライバルということになる。

 はぁ……それも結構面倒だ。

 新に勝てる要素なんかあるわけないし、挑戦するだけ無駄。

 元宮神菜は怯えているのか、ずっとビクビクしながら俺の後ろを歩いている。

 多分俺が素っ気ない態度を取ってたからだろうが、素だから仕方がない。

「新さんっ……!お待たせしましたっ……!」

 ぼんやりと考えを巡らせていた瞬間、元宮神菜が大きな声を上げて新の名を呼んだ。

 もう昇降口に着いていたのか、目の前には般若のような顔をしている新が。

 どれだけ独占欲強いんだよ……そんな恋に現を抜かすような奴じゃなかっただろ。

 吐き捨てるように心中で呟き、俺はゆっくりと口角を上げた。

 そういや、こいつに言わないといけない事があったな。

「新。」

「……何だ。」

 俺の呼びに反応してくれたが、地を這うような低すぎる声で返される。