あいつは人間のくせして超強力な魔力を持っていて、誰も彼も圧倒する美貌の持ち主。

 その上めちゃくちゃにお人好しだから、元宮神菜に惹かれた輩は数え切れないだろう。

 ……俺も、例外じゃないから。

 俺だって男だから多少なりとも元宮神菜に好意を寄せていて、できる事ならもう一度一目見たいと夢見ている。

 ま、そんな事できたら苦労なんてしないがな。

 俺の親父もお袋も、元宮神菜と接点を持ちたくて政府で働いている。

 それは俺も同じで、政府では顔が知れている。

 ……だが一向に、元宮神菜の情報は掴めないままだった。

 別に俺はそこまで必死になっているわけではないが、会えたら絶対に精霊族に引き入れたいとは思っている。

 どうせ俺が精霊族の次期族長になるんだろうから、あいつを精霊族側の奴にする分には全然良い。

 むしろそうじゃないと、親父たちがヒステリック起こしそうだし。

 それでも親父たちは、神々家が元宮神菜と接点を持てば良いと考えている。

 理由としては、俺たち小鳥遊家が神々家の使用人だからだ。