言われるがまま会長室の中に足を踏み入れ、ふわふわソファに座らされる。

 ひ、久しぶりに入ったなぁ、ここ……。

 初めてここに入った時は、鋭すぎる事を言われたんだっけ……。

 あの時から天さんは油断できない人だって気付いていたけど、まさにその通りだった。

 今もこうして、窮地に立たされているから。

 ううっ、どうしてこんなに間抜けなんだろう、私っ……!

 また心の中で後悔し、できる事ならぽかぽかと頭を殴りたい。

 だけど今の私の脳内は、さっきの天さんの言葉で頭がいっぱいだった。

 お、お願いって何だろう……。

 黙ってもらう為の等価交換としてそう言われたけど、どんなお願いをされるのか予想がつかない。

 天さんは何もかもが予測不可能だし、無理難題を押し付けられるかも……。

 ……ほ、本当にありそうで怖くなってきたっ……。

 自分で考えた事に恐怖を抱き、首を左右に振る。

「あはは、首なんて振ってどうしたの?」

 天さんも目の前のソファに座り、愉快そうに口角を上げ微笑みを浮かべている。