ま、まさかそう来るとは……。

 天さんがそう簡単に呑んでくれるとは思ってなかったけど、この為に黙るって言ってくれたのかもしれない。

「お、お願いって何ですか……?」

 だけど天さんの言う通りにしないと、どうなるかが分からない。

 お願いの内容にもよるけど……聞かないと話にならないと思う。

 恐る恐るそう尋ねてみると、天さんは不敵な笑みのまま奥の部屋を指さした。

「とりあえず会長室行こうか。話はそれからね。」

「……は、はい。」

 何を考えているのか分からないけど、私にはどうすることもできない。

 天さんは私の事を解放してくれ、奥の部屋へと向かっている。

 もしかしたら今なら逃げれるかもしれないけど……対策がされてしまっていた。

 さっき一瞬だけ生徒会室の扉に触れてみて、ピリッと電流が流れた。

 思ったよりも強力で、触ったら天さんに分かる仕組みになっているらしい。

 だから逃げる事は、完全にできなくなってしまった。

 仕方ない、よね……。これもお仕事の為、正体を隠す為……。