「いや、神菜は誰よりも可愛い。神菜以上に可愛い奴なんていない。」

「そ、そんな事外で言わないでくださいっ……!」

「家の中なら良いのか?」

「それもダメですっ!」

 こっちが恥ずかしくなるようなセリフをさらっと言う新さんに、無我夢中で反論する。

 家の中とか外とかじゃなくて……そ、そんなセリフ恥ずかしすぎてどうにかなりますっ……!

 私はこの話題から新さんの意識を逸らそうと、さっきの出来事を思い出す。

 ……あっ、そう言えば。

「新さん、さっきどうして私を呼んだんですか?」

 確か私、新さんに呼ばれてこんな話になったはず。

 ……どうしてこんな話題になってしまったのか、今でも分からないけど。

 新さんはその私の言葉に、何かを思案するような素振りを見せる。

 その表情がいつにも増して真剣そうだったから、思わず私も押し黙ってしまった。

 だけどすぐに柔らかい表情に戻り、私にこう言った。

「やはり何でもない。気にしないでくれ。」

「?……は、はい。」

 結局、新さんはさっきの事について一切触れてくることはなかった。