「そういえば、季里ちゃん。学校は明後日入学式だったわよね?私、洋子さんの代わりに、出たかったんだけどちょっと急な仕事が入っちゃって行けなくて…ごめんなさいね」 

「いえいえ!そこまでしてもらうわけには!仕事お忙しいみたいですし、私もカフェのお手伝い、今週末からさせてもらいますね!」

ナポリタンを食べつつ、申し訳無さそうに切り出した和音さんにブンブンと首を横に振り、私は笑いかけた。

「でも、季里ちゃん…緑葉谷高校なんでしょう?すごいわ。進学校じゃない!制服も可愛いって有名だし通うの楽しみね?」


「…緑葉谷高校ねぇ…あんた馬鹿そうなのによく、受かったな」


「あはは。死ぬ気で勉強頑張りました…」


相変わらず毒舌な充希くんに苦笑いを浮かべつつ、コップの中の水を飲む私。  


和音さんが、オススメするだけあってナポリタンはすごく美味しかった。しかも、デザートに試作品だというチョコレートのミニケーキまで出してくれ、それまで私はペロリと平らげてしまった。


…ここに住んでたら、ご飯美味しすぎて太りそう。ちゃんと運動しなくちゃだわ。


「こら!あんたは本当に口が悪いわね!…全く誰に似たんだか…それよりも、充希こそ明日始業式でしょ?ちゃんと春休みの課題済ませてるんでしょうね?」


「当たり前だろ。そんなの言われなくてもとっくの昔に終わってる」


ぷいっと、和音さんから視線を外し充希くんはナポリタンを食べ進める。


こんな細い身体のどこに入るのだろうかと言わんばかりの量を食べているが、やはりそこは中学生男子、育ち盛りなのだろう。