二人でこの偶然を笑いあう。 「依里ちゃんは何号室?」 「私は、304号室です」 「じゃあ、僕の隣だ。これから、隣人としてもよろしくね?」 「はいっ。あっ、私、会社に行かないと」 「そうだね、また会社で」 晴人さんが手を振ってくれたので、それに振り返して駅に向かう。 ーー仄暗い笑みを浮かべた彼は、着々と私を囲い込んでいる。