「あぁ、来たか」

「お呼びですか。社長」

「そこに座ってくれ。…コーヒーを2つ頼む」

父さんは内線電話で秘書にコーヒーを頼んでから、俺の対面に座る。


しばらくして、コーヒーがテーブルに運ばれると父さんが話し出す。


「あのお嬢さんとは上手くいってるのか」

「...えぇ、まぁ」

運転手にいくら口止めをしても父さんの手にかかれば、いくらでも調べることが出来るのだろう。

「結婚するのか」

唐突に、けれど予想していた質問に俺は素直に答えた。

「そのつもりです。…彼女は、私のものですから」