彼女が出かけたのが音で分かった。 「俺もそろそろ行かないとな…」 今日は、父さんに社長室に来るよう言われている。 多分、彼女のことだろう。 運転手が車で迎えに来てくれて、それに乗り込む。 車の中でも仕事をして、時間を無駄にしないようにしている。 彼女との時間を少しでも確保するために。 ーー会社に到着し、エレベーターで最上階のボタンを押す。 社長室のドアをノックし、返事を待ってから中に入る。