ひなこと廉さん、そして廉さんと同じく、屋台の店員さんのたつきの三人はDARUMAYAに来ていた。DARUMAYAとは高級デパートで、株玉の高級ブランドが入っている。その中には廉さんの好きな、ボンクレールというブランドも入っている。

ひなこは廉さんにそれを誕生日という名目でプレゼントする約束をしていたのだ。ひなこは億劫だったが、まぁデートできるならいいかと楽しもうと思ったのだった。

本来はダブルデートの予定だったが、恵美が遅刻していたので、とりあえず三人で回ることになった。

ひなこはせっかく金を使うならと、プリクラを撮ろうと二人に提案したが、二人は嫌な顔をした。しかし、廉さんはプリクラを撮らないと買わないとひなこが脅すので渋々承諾した。

ゲームセンターに着くと、ひなこは慣れたように五階のプリクラコーナーに向かった。そこには女子はおらず、男子は廉さんたちくらいであった。「俺ら場違いじゃね?」と言い、逃げようとするので、ひなこは「ボンクレール」とやはり廉さんを脅し、近くにあるプリ機の中に三人で入った。

ひなこはなぜプリクラにこだわったかというと、わざと小日向さんに送り、嫉妬してもらおう大作戦を決行するためであった。友達からは効果ないでしょとも言われたが、そんなことはないだろうとひなこは強行したのだった。

「可愛い笑顔で~3・2・1」

と音声が鳴ると、カシャという音がして、写真が撮られた。それが何回か繰り返されると、写真撮影は無事終了した。落書きコーナーに行くと、二人はどこかに消えていたが、やがて戻ってきて、「やべぇ、立ち入り禁止って言われたわ」と怯えていた。二人でふらふらしているからだとひなこはツッコミたかったが、落書きが終わらなくなるので、そっちに集中した。

落書きは簡単に済ませ、あとはプリントされるのを待った。会員登録をして、プリクラの画像をゲットして、早速小日向さんに送ってみた。

すると、すぐに返事が来ていて「加工半端ねぇな」「美織さんの写真でお願いします」と書いてあった。なんで美織なんだよとひなこは訝ったが、「それなぁ」「今日は恵美たんです」と返信し、あとからDARUMAYAで合流した恵美も一緒に撮った自撮りを送った。

そして、ついでに三人で撮ったプリクラの、二人が後ろでfuckポーズをしているものを送り、「つらたん」と送ると、またもやすぐに返信が来て、「コレ友達?」と聞かれた。ひなこは何でだろうと思い、「そう」「小日向さんとツーショット撮りたい」と送ると、ツーショットはスルーされ、「ホストに貢いでるのかと思ったわー」とホストとの同伴と疑われた。確かに廉さんは昔、三日間だけホストをやっていたらしいが、ひなこはまだ自分はそこまで落ちてないぞと思ったのであった。

そして、「正味間違えではない」と送ると、「友達で良かったねー」と返信が来た。ひなこは、「小日向さんと私は?」とついでに聞いてみると「は?」と返信が来て、「え?」と返すと、「俺の方がお金払ってるわ!」と言い、ひなこは、「やった!」「貢がれてる!」「これは脈あり」と返信した。

すると、「それ」とすぐに小日向さんから返信が来たので、「え?」「やった!」と返すと、「歳上だから」と至極真っ当なことを言われ、さらに「脈はない」と余計な返信が来たので、「え?」「死んでる?」「大丈夫?」と20代のノリのウザい返信を10も歳上の30代にした。

小日向さんは呆れたのか、「大学生って暇なの?」とLINEが来た。ひなこは、「夏休みですよー」「バイト代が10万円入りました」と返信した。すると、「まじで写真二人がホストで貢いでるんじゃないの?」と来たので、「違いますよー」とまた否定しておいた。

すると小日向さんはまだ諦めずに、「どう考えても搾取される勘違いしてる一般人」と言うので、「ひど」「泣きますよ?」「小日向さんの胸で」と言った。「いやまじでやめて」「怖い怖い」とこれでもかと来たので、「ひどい」「泣かせたくせに」と送った。

ひなこはなんだかんだ小日向さんは即レスだし、かまってくれるので、大分仲良くなったのではないかと嬉しく思ったのだった。

しかしあまりにも送りすぎて、最終的に「コレだけ連投してたらブロックされるって思わないんすか?」と来たので、やばいと思い、「するんですか?」「ならそろそろ黙ります」と送った。すると、「笑」「そう、大人しくしときなさい」と来たので、怒ってはないのかと思い、ひなこは安心するのだった。