今日は小日向とひなこ、そして宇賀山とその内緒の彼女の四人でダブルデートの日だった。

宇賀山の車で、小日向の家まで迎えに来た。小日向はドアを開けると、「ほんとに来たのかよ」と嫌な顔をした。宇賀山は「昨日言っただろ」と呆れた。

小日向が「まだひなこ寝てるんだけど」と言うと、宇賀山は「お前らおさかんだなぁ」と余計なことを言った。

眠い目をこすりながらひなこは言われたとおり、小日向と宇賀山の車に乗り込んだ。宇賀山は「はじめましてひなこちゃん」と笑顔で言った。するとひなこはちょっと緊張して、目が覚めた。そして慌てて、「ひ、ひなこです」と噛みながら言ったので、みんなは笑った。ひなこは照れて頭を掻いた。

「ひなこちゃん面白いねぇ。仲良くなれそう」と助手席から顔を出したのは何を隠そう宇賀山の彼女の神田涼夏(かんだりょうか)だった。小日向はこの人が宇賀山の彼女かと思った。想像よりも小さく、とても幼い顔つきだった。しかし、その顔はとても可愛く、宇賀山はロリが趣味なのかと思った。あとで年齢を聞いて、宇賀山の三つ下なことが判明し、小日向はまじかと思った。そっと宇賀山に「ロリが趣味だったとは」と囁くと、「お前の口からそんな言葉が出てくると思ってなかったよ。ロリは正義さ」と堂々と言ったのだった。

しばらく車を走らせると、海に着いた。そこにはブランコやらバーベキュー場やら食事処など様々な施設があった。早速四人は車降り、砂浜に向かった。

涼夏は幅の広い麦わら帽子を被り、いかにも夏という雰囲気だった。しかし季節はもう秋で、砂浜には人はいなかった。

ひなこは和真と海に来たことを思い出して、小日向に言うと、小日向は少し嫉妬し、似たような場所でキスをした。そしてそれを運悪く宇賀山に見つかり、「お前らやってんなぁ、ここでおっぱじめんなよ」と茶々を入れた。すると、涼夏が後ろから木の棒を持って現れ、「邪魔すんなぁ」と宇賀山の腹をそれでどついたので二人はまじかと唖然とした。

宇賀山は「涼夏ちゃん、許してくんなまし~」と変なことを言い、すると涼夏も「悪霊退散、海に帰ってくんなまし~」とやはり意味の分からないことを言った。小日向はなんだこいつらは、似たもの同士だなと思ったのだった。

海はさすがに寒いので入らなかった。ビーチボールを宇賀山は取り出し、それを小日向の頭にぶつけた。小日向が振り返るとそこにはひなこがいたが、よく見るとその後ろに宇賀山が隠れていたので、「この野郎」と言い、靴を脱いだ。

宇賀山を追いかけ回していると、小日向は砂に足を取られ、思いっきり顔からこけた。ひなこはびっくりして駆け寄るが、宇賀山は「お前、アホだなぁ」とゲラゲラと笑っていた。

涼夏は、「ほら、氷もらいに行くよ」と宇賀山の耳をつねって、食事処に行った。

ひなこは小日向に近づくと、しゃがみこんで「大丈夫?」と言った。すると小日向は仰向けになり、「あーだりぃ」と言った。ひなこは小日向の体に付いた砂を丁寧に落とした。

ふと小日向はひなこの服を掴み、自分の方に引っ張り、キスをした。ひなこは「ちょっとぉ」と言っていたが、満更でもなさそうであり、また小日向がキスをしようとすると、素直に応じた。

そしてそれをまたもや宇賀山に見つかり、「お前どんだけイチャイチャしたいんだよ。家でやれよ~」と声を上げた。すると小日向は「お前が無理矢理連れてきたんだろ」と言い返した。涼夏は微笑みながら「あらあら~」と言って、氷をひなこに渡すのだった。