一期一会。−1−

『………』

ソウ君の言葉に私は素直に頷けずに
いた。

だって、何かが変わっていく気配がする
から。

受け入れてしまったら、どうにかなりそう
で怖かった。

そしたら、ソウ君は仕方なさそうに
溜め息をこぼして、私の腕を掴み、
無理矢理席に着かせる。

それから、小さな子供を宥めるように、
私の名前を呼ぶ。

「王蝶」

『………』

「…彩羽」

小声で何度も呼び掛けてくるから、
流石に無視するのが苦しくなってきた。

泣きたいわけでもないのに、何でか
泣きそうになる。

分かってるよ、私ってガキだよね。

聞き分けもない、こんなことですぐに
拗ねる面倒な子供なんだ。