一期一会。−1−

ナイフ男は人の悪い顔で、イケメンを
睨みながら後退する。

(…このイケメン、意外といい人?)

GPSのことは許さないけど、
私のために怒っているらしく、
少しだけ嬉しくて、何だか変な感覚だった。

…私みたいな底ら辺の女でも、ちゃんと
心配してくれるんだ。

イケメンだし、どうせ助けるなら美少女
なんだろうなって思ってたけど。

ソウ君以外に私を心配してくれる人が
いるなんて、不思議だ。

私を救う義理なんて、ないはずなのに。

…どうして、ここまでしてくれるんだろう。

そんな考えをよそに、事態は緊迫して
いた。

私を人質…っていうより盾?にし出した
ナイフ男にイケメンは飛び出そうにも
できずにいた。

うわ、最悪!女盾にするとか!

自分のことくらい自分で守れよ!

ヘタレだ!チキンだ!

でも、動けないのも無理ないよね。

だって、下手に動いたら卑怯男に
私サクッと刺されちゃうかもしれないし。

大いにありうる、…まぁ、この男に
人を刺す勇気があればの話なんだけど。

薬物取り扱ってるし、本気でやってんの
かな、それとも、ただの威嚇かな。

張りつめていく空気の中、私は心の中で
『んー』と思考を巡らせる。

今の状況どーしよっかなぁ…って、あ!