「…お前は、そうやって見たくないもの
 を見ないふりして生きていく
 つもりか?
 
 普通になれ、だなんて言ってねぇ。

 その中で上手くやっていけるように
 なれって言いたいんだ」

ソウ君の言うことはいつも心に刺さる。

見たくないもの、というワードに、
目を伏せた。

…学校は、たしかに私が見たくないものが
沢山あって、とても苦しい。

目を逸らしたくなるほどに、辛くなるとき
もあって。

あそこにいると、私だけ場違いな気がして
くる。

…どんなに憧れても、届かない世界が
そこにあるから。

…分かっていた。

私は、そのことと向き合うことから
逃げ続けてる。

見えてても、見えなくても、きっとずっと
真実はそこに在るというのに。

…私、強くなったつもりでいるけど、
そんなのただの仮面じゃん。

王蝶じゃない私は、弱虫なだけじゃん。

こんなんじゃ、全然変われてない。

ギュッとスマホを持たない反対側の手を
固く握りしめる。